STUDIOwawon

STUDIOwawon(スタジオわをん)は、「かる、ゆる、らく」をモットーに、ことばをデザインしてゆくスタジオです。

2024-01-01から1年間の記事一覧

桜が散って

桜が花を咲かせると、ついついそちらにばかり目がいってしまうものだ。 そうやってすっかり春を桜に任せているうちに、あちこちで新芽が萌え出ていたことに桜が散ってみすぼらしい木になってからようやく気づく。 冬の間、通勤途中をなんとはなしに通ってい…

春のエンドロール

ぼくは作家・堀辰雄の影響もあってか、白い花、特にこぶしの花が咲いているとついつい目がいくようになってしまった。 今はようやく我が家でも桜が咲いた。ソメイヨシノとは違い、濃いピンク色が鮮やかに花開いている。枝いっぱいに花がついているわけではな…

春の序

ちらほらと桜の開花宣言を聞くようになり、東京ではすでにお花見をする人々で賑わっている様子がテレビで流れていた。 ぼくの地元ではまだ桜の花はつぼみのままだけれども、梅の花はあちこちで咲いており、中には枝いっぱいに咲き誇っているものもあった。通…

彼岸前に

ぼくは時々亡くなった祖父のことを思い出す。懐かしむ、というよりは、ああそういえばこんなこともあったか、と大抵の場合は浮かんできた記憶をただ眺めるような具合に。 それは実際に自分がじいさんと接していた記憶だけじゃなくて、人から聞いた話も思い返…

本人の代わり

ぼくには20年以上の付き合いになるミュウ(ポケモン)のぬいぐるみがある。 おおよそのことはすっかり忘れてしまったけれども、ぼくが小2の97年にアニメの放送が始まり、そのタイミングで買ってもらったものだとおもう。少なくとも小4のときにはもう持…

黄色い糸

母が知人から大量の服をもらった際、そこに一着の黄色いエプロンが入っていて、せっかくだから、とそれを譲り受けたことがあった。 それ以来、食器を洗うときはそのエプロンに袖を通していた。 不思議なもので、ただの私服で洗うよりもエプロン一枚着るだけ…

春のひととき

暦の上では春になった。 といっても、肌感覚ではまだ全然春は遠い。特に東北の山村なぞはこの2月が一番寒いくらいだ。冬至を過ぎてから日の入りは遅くなり、だんだんと明るくはなってきたものの、それでも季節は、新年で気分だけでも和らいだかのような気の…

見えないものを文学する

いろいろを本をあさっているうちに、佐々木茂美著『「見えないもの」を科学する』という本に出会った。1998年の4月に発行となっている。もう立派な古本だ。 そこには、未だ科学的に認められていない、或いは認めにくい「気」についてあれこれ書かれてい…

レシート1枚分の文学

何かの拍子に、うちのオカンが一枚のレシートを見つけてきた。 どこかの引き出しからだったか、普段使っていなかったカバンの中からだったか忘れたけれども、とにかくオカンが、変なレシートが出てきた、と騒いでいた。 どうせ大したものじゃないだろ、と白…

幼い日の記憶

鶴の舞橋という日本一長い木造の橋を見てみたくなって、ぼくは青森に旅に行ったことがあった。 岩手からまずは新青森駅まで新幹線に乗り、そこからは在来線の奥羽本線に乗り換えた。川部駅でまた五能線に乗り換えた。 ぼくが降り立ったのは陸奥鶴田という駅…