STUDIOwawon

STUDIOwawon(スタジオわをん)は、「かる、ゆる、らく」をモットーに、ことばをデザインしてゆくスタジオです。

かんがえることが楽しいということ

 休日になにをしているか、と聞かれて、ことばを詰まらせるひとは多いのじゃないだろうか。
 それというのも、別にこれといったことをしているわけじゃないから答えに窮する。ゴロゴロしたり、テレビやネットをなんとはなしに見たり、目に止まった本を読んだり、正直誰かに言えるようなことをしていない。時間を潰している、そうとしか言いようのない休日ばかりを過ごしている。
 なにをしているか、その質問は、必然なにか活動的な、生産的な答えを用意しないといけないような含みを持っている気がする。
 ただ単に一日を消費していくだけではない、自分が能動的に取り組んでいること、つまりははっきりと趣味を口にしないといけないような、そんな問いに聞こえてしまう。
 そこで無趣味と答えるひとがいる。でも誰にだって多分なんらかの趣味はある。それを口にしないでお茶を濁すのは、他人においそれとは言えない、言いたくない気持があるからそうなる。口にしてしまうことで内容に深入りされるのも困るし、マイナーな趣味であったなら相手から変な目で見られたり気まづい間ができたりするから、そんな空気を作りたくはない。無難な受け答えでなんとか取り繕って神経をすり減らすこともしばしばかもしれない。誰だって、ひとりの世界のままにしておきたい趣味があるだろう。質問の相手がまだ気心の知れないひとであるならなおさら言い出しづらくなる。
 そういったことを頭に浮かべながら、あたらめて休みの日になにをしているのかとおもいを巡らせてみると、実はみんなかんがえごとをしているのじゃないかとおもった。
 体を動かしていないようなときでも、頭を働かせてはかんがえごとを始めてしまう。かんがえる内容はなんだってよくて、身近なことやつい最近知ったことなど、ひとつかんがえ出すとことばが繋がっていって、別のかんがえを引っ張ってきて、そうして時には、そのかんがえている時間がだんだんと楽しいものになってくる。
 かんがえている内容が必ずしも楽しかったり嬉しかったりではなく、辛さを伴ったり嫌な気分にだってなることもある。でもかんがえた先に楽しさがあるなら、それらの負の感情もまた楽しさの一部として捉えることができる。
 とにかくひとは気がついたらかんがえている。それは常にかんがえていないと不安になるからと言えるかもしれない。でもかんがえることそのものが楽しいからとも言えると、ここではそういうことにしておきたい。